木彫 麒麟童子 浦部清風 作
¥ 520,000 税込
商品コード: nw054
【木彫 麒麟童子 浦部清風 作】
木彫刻置物の名品です。
麒麟にのった唐子が、右手で仙桃を掲げ、左手に宝珠を執るダイナミックな図柄です。
三つの桃の実を十七枚の葉が蓮華座のように受けています。
葉には葉脈も彫られ精緻に表現されています。
宝珠はいわゆる火焔宝珠で、火焔が三方に付いた凝った造りになっています。
唐子はあどけなさが残る可愛い表情で、利発さも感じさせます。
唐子は沓(くつ)を履き鞍に跨っています。鞍の後輪(しずわ)部分の裏側に家紋(丸に三つ引き)があります。
鞍の左側には玩具の太鼓が見えます。
飾り布が鞍の左右から垂下して、風になびき、この作品に躍動感を与えるひとつの効果となっています。
布の端のめくれの表現も練達の技で見事です。
瑞獣の麒麟は堂々たる体軀で大地を踏みしめているようです。
姿態は重量感があり全体的に筋肉質です。
右脚を上げて構図に力強さを持たせながらも、四肢は太く表現されており、三本脚だけで本体を支える構造上の問題も旨く回避しています。
麒麟の顔は龍に似ていますが、龍のような二本の鹿角ではなく一本角があります。
顔貌は怖く、まさに瑞獣としての威厳をも感じさせます。
眼光は鋭く、眉毛や口髭は巻き毛で表現されています。
鬣(たてがみ)は左側になびいています。
左右になびく髭の端は、両前脚から立ち昇る火焔と繋がっています。
この四脚に纏わる火焔の表現も絶妙です。
姿態は鱗に覆われています。鱗の彫りは深く立体的に表されています。
尻尾の毛が錯綜するように彫られており量感に満ちています。
台座正面に「浦辺静風作 昭和三十八年五月」と年紀がございます。
箱の蓋裏には以下の墨書があります。
【麒麟は
麒麟鳳凰亀龍の四霊の首位を占める霊獣にて
国家家運の隆盛を謳歌する此の瑞獣に童子の乗
れる圖は古来隣邦中国の家庭にて天より玉の様
なる男児を授かると信ぜられ祭り来れるものなり
昭和三十八年六月吉祥日
浜松市元魚町住
彫士 浦部清風作 並識】
この作品は大胆な構図と精緻な彫りにより迫力に満ち溢れ、どこから見ても欠点というものがありません。
相当気合を入れて、時間をかけて製作されたものと思われます。
これは浦部清風師の会心の名品ではないでしょうか。
置物としては高さが51㎝もあり迫力抜群です。
お品の状態は目立つ疵もなく良好です。
二度と出ることのない一期一会のお品ですので、この機会をお見逃しなく。
作品サイズ・高さ51㎝ 幅31㎝ 奥行21㎝ 重量4.5kg 共箱
★略歴・浦辺一郎(1907-2001) 号=清風、松寿
明治40年(1907)、豊橋市嵩町の農家に生まれる。
大正10年に建立された地元の正宗寺の唐破造りの山門の彫刻を見て感銘を受ける。
翌年小学校を卒業すると、この山門の作者である彫刻師・高須宗信に弟子入りした。
修業中の昭和四年に浜松市「八幡町」の屋台彫刻を手がけたのが遠州の最初の仕事である。
約9年間の修を終え昭和5年に浜松市利町に新居を構えて独立、以来社寺の装飾建築・祭り屋台彫刻をがけていくようになる。
昭和19年名古屋で戦時徴用されていて終戦を迎え、昭和24年に浜松市元町に住居を構えた。
以来浜松を中に遠州地の祭り屋台彫刻を精力的に手がけた。
平成13年(2001)没
作品・掛塚「田町(田組)」屋台彫刻『源頼光の大江山鬼退治』『張道陵仙人 猛虎を手なずける』
浜松「八幡若連」「天狗連」の屋台彫刻
天林寺(浜松市)楼門装飾彫刻
『力神』置物(個人蔵)
『恵比寿大黒』置物(個人蔵)