敦煌莫高窟壁画 観音菩薩像
¥ 1,900,000 税込
商品コード: ch001
石窟壁画観音菩薩像の名品です。
華厳経に描かれている補陀落山が浮かぶ海上に立つ、観音菩薩が描かれています。
頭光を負い蓮華座の上にお立ちになっています。
観音は、恭(うやうや)しく合掌する画面右下の善財童子に、慈悲心に満ちた優しいまなざしを向けられています。
足元の蓮華座の周りには小波(さざなみ)が描かれており、大海の波涛の中を進んでいるのが分かります(渡海)。
この波涛や小波は精緻に描かれ、且つ躍動感がございます。
緑青の濃淡の使い分けによる色彩表現も見事というほかありません。
観音さまの像容を見てみますと、精緻且つ伸びやかな筆致で、女性的な優しい表現がなされています。
柳の枝が挿された浄瓶(仏具)を両手でお持ちになっています。
頭部には阿弥陀化仏を表した宝冠を戴き、観音菩薩であることが分かります。
透明感を感じさせる白い薄布を頭部から纏っています。
白衣は柔らかに体を覆い、紅い石帯と共に緩やかな曲線を描きながら下に垂れています。
水色の天衣は裳裾より少し右側に跳ねあがっています。
お顔は幾分ふくよかで眉は細く、若干半眼の両目は、まことに優しい眼差しであり慈悲に満ちています。
眉間には白毫が描かれています。
鼻の形も良く、小さめですが形の良い唇など、正に眉目秀麗と云う言葉がぴったりの美しい観音像です。
頭部に戻って、宝冠の後ろには大き目の髻(もとどり)が表現されています。
天冠台の下の地髪は耳の後ろから垂髪となり、風のために右側になびいています。
髪際(はっさい)には、一巻して左右に分かれるおくれ毛が見えます。
細身の体部を見てみますと、少し腰部で屈曲した姿態は、艶めかしさも感じさせます。
胸部は瓔珞(ようらく)で飾られています。
足指はふっくらとして、しなやかに描かれています。
右下の合掌する善財童子も精緻に描かれています。
薄紅色の一葉の蓮華座に乗っているようです。
身体に纏う青色の天衣も右側になびいています。
この善財童子は高麗仏画の水月観音像にみられる童子を想起させます。
画面右上には白い尾長鳥が描かれています。
数珠(瓔珞)を紅い嘴(くちばし)で咥えており、極楽浄土に住むという白鵠(びゃっこく)と思われます。
さて、このお品の状態でございますが年代の割に良いほうではないでしょうか。
この作品は、石窟壁画の剥離した漆喰状の断片を板に貼りつけて額装してあります。
何分古いものですので、漆喰部分は茶色に変色しています。
絵画部分にも褪色があり、数か所微少ですが剥離がございます。
現在は、アクリル板の入った木製の額縁に入っています。
板に貼られた壁画はそのままで、額縁は一度替えられているように見受けられます。
アクリル板には曇りや擦り疵がございます。
このお品は兵庫県芦屋市六麓荘の旧家からお譲り頂いたものです。
大正期、兵庫県武庫郡本山村(現・神戸市東灘区本山)に二楽荘という建物があり、
そこの蔵品であったものを、何らかの理由で入手されたと云うことをお聞きしております。
時代の流転を経て幸運にも現在に残ったということでしょう。
とても希少なお品で、石窟壁画の観音像の名品です。
正に一期一会のお品です。 この機会をお見逃しなく。
作品サイズ・「壁画」 縦 約49㎝ 横 約12.5㎝ 厚み0.2~0.3㎝ 「額縁」 縦63㎝ 横37㎝ 箱あり